【2022年1月】ブロッコリーの変色について
今年の冬は雪が多めです。先日は京都市内でも10㎝程積もっていました。娘は嬉しそうに眺めていましたが、農家にとっては雪は台風に並ぶ恐るべき自然の脅威です。2~30㎝積もるとパイプハウスが潰れる恐れがあります。一晩でそれぐらい積もることもあるのでこの季節は天気予報が気になります。
一方で寒い季節は冬の野菜が甘くなって美味しくなります。この季節に一部野菜の色の変化に気が付かれる方もおられるかと思います。ブロッコリーやキャベツが紫っぽくなることがあることはご存じですか?たまにお客様に聞かれることがあるのですが、ブロッコリーが紫っぽく変色しているけど問題ないですか、と。これはブロッコリーが寒さから身を守るために自らポリフェノールの一種であるアントシアニンを作り出すためらしいです。食べても全く問題ありません。むしろ寒さにあたって、甘みが増します。加熱すると、きれいな緑色になります。ですが、スーパーでは紫色に変色した野菜はあまり見かけないかもしれません(直売所などではよく見かけます)。実は、流通の規格的には好まれません。同じように育てたのにもったいない、という気がしないではないです。とはいうものの、京都長尾ファームで販売している野菜セットや直売所では、紫っぽくなっていても、あまり気にせず出荷しています。一般的な流通経路に乗せていないので、規格に縛られない個人販売の良いところと思っています。大体のお客様は説明すれば理解していただけます。
あと、余談ですが、実はブロッコリーの保存は0℃くらいが長持ちするので、野菜室より冷蔵庫の方が向いています。私がこれを深く心に記憶したきっかけとなった、苦い思い出があります。ブロッコリーは秋~冬に収穫する作型がメジャーですが、春~初夏に収穫する作型もあります。その時は、6月ごろ収穫した時でした。ブロッコリーの保存は0℃くらいが良いと知らなかった私は、収穫し翌日に出荷するブロッコリーを袋詰めして、コンテナごと小屋の中に置いておきました。翌日、直売所に出荷しようとしたところ、綺麗な緑のはずのブロッコリーが黄色っぽく変色していました。調べてみると、保存温度が高いとブロッコリーの呼吸量が増えて、黄変してしまうとのこと。それ以来、ブロッコリーは収穫後すぐに冷蔵庫に入れ、出荷まで予冷するようにしています。人間、いろいろな失敗を経て一歩ずつ成長していくものです、と前向きに捉えました。皆様も、ブロッコリーの保存、是非一度お試しくださいませ。