京都長尾ファームの野菜の「荷姿で気を付けていること」と「規格」

2019年6月野菜セット

京都長尾ファームの野菜の「見た目」について書きます。京都長尾ファームの野菜セットをご購入いただいた方で、「なんか、スーパーの野菜とちょっと違うな」という感想を持った方もおられるかもしれません。収穫してすぐにお送りしているので、新鮮であることは間違いありません。しかし、見た目がちょっとスーパーに並んでいる野菜とは違う。形が小さかったり、いびつだったり、大きさがそろっていなかったり…。
ということで、京都長尾ファームの野菜の「荷姿で気を付けていること」と「規格」について書きます

野菜の規格とは

スーパーなど一般に流通している野菜は、ほとんどの場合、既存の流通システムに乗っています。
一番多い流通形態は
生産者 → 卸売市場 → 小売業者 → 消費者 
という流れになっています。こちらの流通経路は、国産野菜の生産量1500万トンのうち640万トンと約43%を占めています(※1)。その他の国産野菜の流通経路は、加工・外食・中食であったり、生産者が直売するというものがあります。
一般的な流通経路の場合、卸売市場や出荷単位であるJAごとに決まった「規格」があり、大きさ・色つやなどの品質・重量が決まっています。野菜の規格は流通システムを支える上で非常に大切な役割を果たしており、必要なものです。規格に合った野菜の方が生産者も出荷・調整がしやすいですし、運搬コストも下がりますし、小売りも見た目が良い方が売れますし、消費者もきちっとそろった野菜の方が美味しそうに見えます。関係者がそれぞれ幸せなシステムになっています。
一方で、一般的な流通に乗せるためには野菜を規格に合わせて生産する必要があります。京都長尾ファームでは規格に収まらない野菜が流通することも、資源保全や食品ロスの減少など意義あることと考えています。規格に合わせようとすると形や見た目が100点満点の野菜を目指すわけですが、そうすることで、

・農薬・肥料などの資材を過剰に使ってしまう

・規格に合わない野菜の廃棄によるロスが多くなってしまう

恐れが生じると考えます。
書籍「捨てられる食べ物たち」(※2)を参考にしますと、野菜の収穫量約1334万トンに対し、実際に出荷されたものは約1141万トン。出荷されなかった約193万トンの多くは規格外、余剰分として廃棄されている、としています。これは収穫量に対し14%にもなります。これは生産現場で廃棄されているもので、いわゆる食品ロスとして統計に出てくる数値に含まれない数値です。
という理由もあり、京都長尾ファームでは規格をあまり意識しない野菜作り・販売方法を選択しています。少々形がいびつだったり、揃ってなくても野菜の個性と捉えていただければ幸いです。とはいうものの、正直、規格にあうように栽培ができればよいのですが、「栽培技術が発展途上にあるからでしょう」、と指摘されるとぐうの音もでないこともお伝えしておきます。

規格にこだわらないからこそ

また、規格にとらわれない野菜作りをすることで野菜のいろいろな面を味わうっていただくことができます。例えば、スーパーに売っているニンジンは、大きさの違いはあれ、大抵大きくなった根の部分が綺麗に洗われて並んでいます。京都長尾ファームでは、成長に合わせて徐々に出荷していきます。最初は、間引いた葉、次に葉付きの小ぶりなニンジン、そして、大きくなった根のニンジン。野菜のいろんな段階で出荷することで、それぞれ違った味わい・側面を楽しんでいただくことを心がけています。ちなみに、ニンジンの葉は細かく刻んで、佃煮やふりかけにすると香りも良くご飯が進むおかずになります。

京都長尾ファームでは現在、個人宅配、直売所への出荷が主ですので、規格をあまり気にする必要がありません。規格に合った整った野菜も大変魅力的ですが、曲がったキュウリ、形のそろっていないジャガイモなど野菜の個性だと思っていただけると嬉しいです。性格的には几帳面でもありますので、きっちり規格に揃えたいという気持ちも十分にありますが、野菜は規格に合わせて育ってくれません。暖かい目で京都長尾ファームの野菜を楽しんでいただければ有難いです。

 

※1 出典「業務・加工用野菜 売れる品質・規格と産地事例」 藤島廣二・小林茂典著 農文協
※2 出典「捨てられる食べ物たち」 井出留美著 旬報社

 

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